戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第31章 八ノ宮大君の巻―佐助ノ君・幸村ノ宮-<R18>
俺は光源氏と呼ばれた、秀吉。
既にこの世には居らず、今から始まる話しは俺の孫や晩年に産まれた子の物語。
俺の晩年の子、薫君こと佐助ノ君は、からだから不思議とかぐわしい芳香を放つ。
隠れていてもこの香りで、近くに居る事がわかられてしまうのだ。
そしてこの佐助ノ君の友人は、匂ノ宮こと幸村ノ宮。
現帝と俺の娘、明石中宮の三番目の息子で、愛敬の良さから二人から溺愛されている。
佐助が何もしなくても香りを発するのに触発されて香に興味を持ち、しょっちゅう香を焚いて気に入りの香を探す毎日で、これが匂ノ宮と呼ばれる理由なのだ。
二人は好敵手であり友人であった。
「いつもそんな辛気臭い顔をして、いったい何の不服があるんだよ?父親は光源氏、母親は朱雀帝の姫宮で、こんな幸運は無いくらいの両親じゃないか」
幸村から言われる佐助だが、それには理由があった。
佐助しか知らない秘密、それは、彼の父親は本当は俺ではない。
本当の父親は、俺の友人であり好敵手であった若き頃に頭の中将と呼ばれた、故太政大臣の長男で柏木と言われた人だった。
佐助の母宮、女三ノ宮に恋焦がれ、父親や姉女御を通して何度も自分に降嫁を願っていながら、女三ノ宮は俺に降嫁し、思いつめた柏木は六条院へ忍んで、俺が居ない隙に女三ノ宮と通じ、佐助が産まれたというのが事実だ。
そして、それは俺に知られ、俺からの報復を恐れた柏木は精神的に病んでしまい、身重の朱雀院の姫宮が佐助を産んだ後に、ひっそりと女三ノ宮が身二つになった事を喜びつつ死んでいった。