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戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉

第29章 紫の巻―義元中将-<R18>


私は舞という名前なのだけれど、何故か紫の上と呼ばれる。

何故紫なのかと言うと、私は藤壺の女院様にゆかりがあるから、だそうなの。

女院様の兄である式部卿の宮は、私の父宮。

だから私にとって、女院様はおばでいらっしゃる。

そんな素晴らしい女人と血のつながりがあるから、義元様は私にいつも過大な期待を持たれ、私を義元様の理想で縛りつける。

「舞は私によって最高の、非の打ちどころのない、素晴らしい女人に育たれた。舞は何も心配する事は無い。私は舞だけを愛しているのだから」

いつも義元様はそうおっしゃるけれど、私にとっては嬉しくもないわ。

私を縛り付けて、自分の理想通りに育てておいて、ぬけぬけと好き勝手な事をおっしゃってるわ、と私は思うの。

だって、私は、そんなに穏やかで、出来た女人では無いもの。

人一倍嫉妬深くて、だから、義元様が他の女人のところへ行かれるのを、内心腹を立て、でも義元様に捨てられたら私はどこにも行く先が無いから我慢して、義元様にとって出来たおんなを演じているんだもの。

だから明石の姫君が裳着を迎え、無事入内なさったら、私は義元様の前から去り、一人穏やかに御仏と共に生きていきたい、といつからかそう思うようになったの。

愛欲の世界に縛られていたくない、そう思うようになりつつも、義元様の優しい愛撫に私のからだは蕩かされて、義元様の全てを自分だけのものにしたくなる。

御仏におすがりしたいと思いつつ、義元様に愛される時は義元様を失いたくない、と思うなんて、みっともない、恥ずかしいおんなだよね。
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