戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第27章 六条御息所の巻―蘭丸中将-<R18>
舞はそして、真白の君に言う。
「お返事を書きますから、支度をしてくださいな」
「かしこまりました、紙はいかがでしょうか?」
「紙はそうね…撫子色の薄様にしましょう」
真白の君は文の支度をし、舞はさらさらと美しい手蹟(て)で歌を詠う。
「蘭丸様…あんな可愛らしいのに、やっぱり殿方ですわね。私が手玉にとるはずが、私だけでなく中将の君と真白の君、貴女がた迄が蘭丸様に取り込まれてしまったのですもの」
歌を認め、筆を置いた舞が、真白の君の文を渡しその文を小さく畳んでゆく。
葉桜の枝にその文を結び付け、遣いにその文を持たせるために、真白の君が一度下がり、中将の君が舞に問う。
「でも御方様、いつまでこのようなお遊びをお続けになるおつもりですか?」
「そんな遠くないわ。娘が伊勢斎宮に選ばれましたからね、私も伊勢に付いて参ります」
「御方様!そんな事は何も聞いておりませぬ…!」
中将の君の言に舞は穏やかに微笑む。
「ええ、内密に帝からお話しが来てますけれど、お受けするつもりですわ。
やはり蘭丸中将様はこれからのかたですからね。
私のようなもう終わったおんなといつまでも続いてはいけませぬもの」
「御方様…」
「その時は貴女がたは、他の邸へ移るなり、ここを守るなり、自由にして良いのですからね」
「御方様、それは…」
「だっていつ戻れるかわからないでしょう?私の選んだ貴女がた女房は、皆、容姿も教養も一流の女人ですよ?ここで朽ちるより、他の時めく邸へ行かれたり、殿方と夫婦になるのも良いですし、自分の人生を作っていかなくてはなりませぬよ」
「…かしこまりました」
中将の君の渋々とも言える同意に、舞は晴れ晴れとした様子を見せる。
「さ、蘭丸様が必ずご訪問なさいますよ?私達も愉しむために、支度を致しましょう」
舞の言葉に中将の君は頷き、そして、一夜の淫らな快楽を四人で作りあげてゆく。
〈六条御息所の巻 終〉