戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉
第21章 明石の巻―謙信中将-<R18>
「舞…おまえの可愛い姿を久し振りに堪能出来たな」
謙信中将は舞の肩を抱いたまま、更に力を込めて舞を引き寄せ、これ以上出来ない程、ぴったり二人のからだをくっつける。
「私も…謙信様にお会いしとうございました…」
小さく、しかしながら、自分の気持ちをはっきり伝えた舞を可愛く思い、謙信中将は舞の額に口付けをする。
しかしながら謙信中将は、舞が悲しむのがわかっていても、姫を都へ連れて行き、紫の上に養育させる事を、言わなくてはならなかった。
舞も姫の事は頭ではわかっている。
姫は将来、光源氏の娘として、東宮に入内し、将来の皇后となるであろう定め、だから。
でも、まだ、あの可愛い姫を手放したくない…私も都へ行けば良いのだろうけれど、都にいる謙信中将の他の女人の事を思うと、自分のような身分低い者が謙信中将の側に行って良いものか…舞の心は大きく揺れる。
うっとりとした表情で謙信中将に抱かれている舞を見ると、謙信中将は姫の事を言い出しにくい思いに駆られるが、やはり言わなくてはならない。
情事の後の秘めやかな一時を打ち破り、謙信中将はとうとう姫の事を舞に告げる。
「姫の事だが、思うところがあり、早く都の者に預けて育てたいのだ。
舞には酷な事だとわかっておるが、姫の将来の為わかって欲しい」
わかりたくない、でも、姫のため。
全てはこの為。
舞は表情を改め、謙信中将に言う。
「かしこまりました…姫を、どうぞお連れください…そして紫様によしなに…」