第3章 胸の痛みは散りゆく花のよう 幸村精市
幸村「うん。分かった、じゃあいつも通りのところでね」
『OK~』
が俺の家へ行く時は、いつも一緒に帰っている。
俺の部活が終わるまでは、は図書室にいる。
は、部活に入っていないから。
いつも通り、他愛もない話をして、楽しく帰ると思っていた。
……けど、今日は厄日みたいだったんだね。
――――
幸村「集合!!!!
今日はこれで解散っ!!」
部員「ありがとうございましたーー!!!!」
俺は皆が帰るのを見送り、鍵を閉めて帰ろうとした。
……そのとき、体育館裏から声がした。
なんだろう?と思い、興味本意で覗いてしまったのがいけなった。
その事がきっかけで、俺はもう、君に心から笑うことが出来なくなってしまったのだから。
――――
「あ、あのさ……」
『うん?』
「俺、の事が好きなんだ!
付き合ってほしい!!」
『……!…わ、私も、くんの事が、好き、でした…っ!
私でよければ、付き合ってください…///』
あんな真っ赤な顔をしたを見るのは、初めてだった。
しかも、俺に向けてではなくて、俺じゃない男に。
何もかもが崩れ去っていった。
早く、告白すれば良かった、何て感情は頭が冷えてから出てきたもの。
足元から、砂のようにさらさらと無くなっていきそうな、感覚。頭が真っ白で、動けなくて、どうすれば良いのかよく分からなかった。
けれど、この場にいたらまずいと本能が語っていた。
だから、俺は一目散にとの『いつもの』待ち合わせ場所、校門へ向かった。
体育館裏にいた人が、だと思いたくなかったのかもしれない。
花怜に似た人だと、ただの空似だと思いたかったのかもしれない。
けど、その願望さえ崩れ去った。
……校門には、まだが来ていなかったのだから。
けれど、俺はを置いて行く事は出来ず、静かに目を閉じてを待っていた。
5分後くらい……いや、俺の頭は混乱状態だったから、もっと早かったかもしれない。もしかしたら、もっと遅かったかもしれない。