第6章 俺の居場所 立海r陣
幸村『……ハァ』
―――――
俺は医者から宣告を受けた。
『ギラン・バレー・症候群』と言う病気に極似したものだと。
……けれど、俺の心にそれ以上に深く刺さってきた言葉は
『テニス』が出来なくなってしまうかもしれないということ。
テニスがもう出来ない?
それじゃあ、俺は生きてる意味なんか無いじゃないか。
手術して、もし直ったとしても、『テニス』出来ないんだろ?
俺の頭は、グジャクジャ。
もう、なにも考えられない。
これ以上の何かを、俺の頭に入れたら爆発しそうだ。
……そんなときに
トントンッ
幸村『……』
こんなときに、誰だよ
入ってくるなよ
トントンッ
幸村『……』
うるさい!うるさい!
誰とも顔を会わせたくない
真田「幸村?入るぞ」
真田?今は入ってこないで
お願い。今、君たちに会ったら、俺は何をしてしまうか分からないから。
ガチャっ
真田「幸村?どうしたのだ?
いるのだったら、返事をくれても良かっただろう」
幸村『……すまない、真田。』
柳「顔色が悪いぞ?大丈夫か?精市?」
幸村『……大丈夫だよ』
切原「そーえーば、俺、テニス上達したんスよ!」
今はテニスの話をしないで。
丸井「俺も俺も!幸村くん、聞いてよ!綱渡り、出来るようになったんだぜぃ♪」
今は、今は!なにも話をしないでっ……!
幸村『……』
真田「幸村?」
幸村『……っ!もう、出ていってくれないかな……?』
切原「幸村、ぶちょぅ……?」
幸村『早く、早く出ていってくれっっ!!!!!!』
真田「……っ、いくぞ……」
俺は、皆が出ていったあと、ドアにもたれ、泣いた。
涙が枯れるんじゃないかってくらい泣いた。
ごめんね、みんな。
みんなが優しいのは知ってる。元気付けようと、色々なジャンルの話をしてくれる。
知ってる、けれど、今はそんな事を考えられる余裕がないんだ。
君たちの優しさを無駄にしてしまったね。
誰かに、甘えたい。
けれど、自分の弱い部分を見透かされたくない。
俺も、君たちと一緒にテニス、したいよ
……ねぇ、神様。お願いだ。
みんなと一緒に、テニスがしたい。
強くなりたい。
全国にみんなと行きたいよ。
ねぇ、なぜ俺なんだい?
なぜ、俺がこんなに苦しまなければならないの?
ねぇ、ねぇ、……俺はただ、テニスがしたいだけなのに。