第9章 歌詠鳥が啼く頃に。(春ルート)
これは昔の記憶?
お父さんとお母さんと…。
ああ、ここは昔の家…。
何してたんだっけ?
えっと…そうだ、飼っていた猫がどこかに逃げちゃって泣いてたんだ。
あのあと…たしか…そう、公園に…家から脱走して猫を探しに公園に来たんだ。
『はる…どこ…っ…。』
公園内をぐるぐると探していると突然聞こえてきた綺麗な鳴き声。
ーホーホケキョッ♪ー
『あっ…。』
見上げると梅の木に綺麗な黄緑色の鳥。
その綺麗さに思わず見とれてボーッとつったっていた。
しばらくしてその鳥が飛び去っていって、我に返った。
『あっ!!はる!!はるを探さないと…。』
慌てて周りを見渡す。
するとベンチにふわふわした髪の毛で綺麗なペリドットのような目をした男の子がいて、その膝の上に。
『はる!!』
そう、探していた飼い猫がいた。
「え?」
その少年は驚いたような顔をして私を見る。
『あ、えっと…その…ね、猫…。』
少年の膝の上で眠っている自分の飼い猫を指差す。
「あぁ、この子のこと?ビックリした、俺の名前も春だから俺の事知ってるのかと思った。」
『え、お兄さんの名前もはるなの?』
「うん、俺の名前は弥生春。」
『やよい、はる?』
「そう、それが俺の名前。」
ふわっと微笑む春はとても綺麗でなんかドキドキした。
春は膝で心地良さそうに眠る猫をそっと抱き上げて私の方へと連れてきてくれる。
「はい、"はる"のこと大事にしてあげてね?」
『うん!ありがとう春!』
はるを受け取りしっかりと抱き締めるとはるは嬉しそうに私に頬擦りした。
『ふふっ、くすぐったいよはる。』
「君とはるは仲良しなんだね?よかった。」
春が私の頭を撫でて微笑んでいる。
それだけでなんだか胸がドキドキした。
「お嬢様…?!」
「流那ー!!何処に行ったの?!」
『あ、お母さんとお手伝いさん…。』
「ふふっ、またどこかでね?」
名残惜しかったけど、春に手を振ってその場をあとにした。
「…ルナ…か。」
春はどこか寂しそうにそう呟いた。