第2章 第1章 旅立ちまで
「おかーさん!!たらいまぁ!」
元気よく家に駆け込んできたのはまだ5歳の幼い少女。
少女は呂律の回っていない口調に適した年齢通りの見た目をしていて来ている服は泥まみれである。
泥まみれの原因はきっとその手に乗っているキラキラとした石のせいだろう。
少女は母に自慢げにその石を差し出した。
「...朱里?これはどこで?」
朱里と少女の名を呼んだ母、雪絵はその朱里が持つ石に視線がいっていた。
「これね、なんかほっちゃらでてきたの」
ずいっと受け取れと言わんばかりにそれを母に差し出し満足気に手を洗いに行った朱里に雪絵はため息をついた。
雪絵が受け取ったそれは『宝晶』と呼ばれる燃料の1つだった。