第2章 第1章 旅立ちまで
「朱里、またあそこに行くの?」
「そうだよ、草原は気持ちいいから。」
「...そう。でも光を掘っては行けないからね。」
「それって、宝晶と関係があるの?」
走り回っていたその足を止め、大きな瞳が母である雪絵をまっすぐ見ていた。
朱里は学校で隣に並ぶ者はいないほどの成績優秀者であり、その知識の幅は大人よりあるとさえ言われている程だ。
『宝晶』の知識について持っていても不思議ではない。
雪絵はそれを思い出し、苦虫を潰した気分になった。
しかし、それを悟らせてはいけなかった。
「そうよ、見つけたら朱里は潔子といられなくなるの。」
朱里は潔子が大好きというのは分かりきっている事だ。
つまり、脅しのようだがこれが1番効くのだ。
「...潔子といれなくなるのは嫌だから宝晶はは触らない。」
「うん、いい子ね!」
雪絵は笑顔で朱里を撫でた。
朱里は笑いながらも心では母の脅しに気づき、その約束を守る気など無かった。