第32章 茶屋に行く
「お茶と羊羹、お団子、お待たせ」
「わぁ、ありがとう」
舞は喜んで盆の菓子を見る。
「…羊羹に栗が入ってる?」
「よくわかりましたね。期間限定の栗入り羊羹ですよ」
「へぇ、栗入りか。考えたな」
政宗も興味津々で羊羹を見る。
「ありがとうございます。あの子が考えたんですよ」
春があの子、と言ったのは、すぐ目の前でまだ片付けをしている葉月。
「葉月さんが考えたんだ…」
舞は感心する。
「いつも持ち帰りの羊羹を売ってるのか?
先程までものすごい混雑だったな」
実際目にして、混雑の原因がわかったので政宗は春に聞く。
「そうですね、あれが売り切れれば混雑は無くなります。
毎朝、順番に札を渡し、必要な個数をその時に聞きます。
多めに作ってはいますが、売る時に最初の数より多く欲しがるかたもいらして、なかなか札を持ってないかたまで数が回りません。
あの子もいろいろ販売方法を変更しながら売ってるんですけどね」
春も答える。
「なるほど」