第32章 茶屋に行く
そして。
政宗と舞は、葉月が働く茶屋へやって来た。
話しに聞いていた通りの混雑ぶりに驚く二人。
「いやはや…こんなに混んでるとは思わなかったな」
「出直す?政宗?」
すると、店内から声が聞こえてきた。
「はーい、お待たせしました。お持ち帰り用の羊羹出来ました。
順番にお渡しします!番号札1番のかたからどうぞ!」
葉月が大きな盆を持って店内から現れ、人が大勢いる腰掛のところに盆を置く。
政宗と舞はその様子を見る事にした。
「1番のかたー」
呼び掛けると、札らしきものを持った人が出てきた。
「お待たせしました。いくつですか?」
「ふたつ、くれ」
「はい」
羊羹を二切れ取り、客が持ってきている皿に乗せる。
代金と札を回収し、次の番号を持つ人を呼ぶ。
手際良く順々に待つ人をさばいていく。
「ふーん、商売の才はあるようだな」