第155章 家族団らん
富谷と会った後日、弥生は葉月に富谷の夢の事を話す。
「富谷さんが夢の中で着物を着て、お菓子と飲み物を出す、ウエイターみたいな事をしていたって?」
葉月は驚いて聞き直す。
弥生は葉月の驚き方に驚きつつ、聞いた事を伝える。
「うん、そう。本人は着物を着る機会は無いし、時代劇を見る余裕は無いから何でなんだろうって首を傾げてたよ」
「やっぱり富谷さんって戦国の富弥さんの生まれ変わりなのかな。だって、戦国の富弥さんは、茶屋で私の代わりに働いていた人だよ?若い男性が茶屋で働くってあんまり無いから、町娘さん達からきゃあきゃあ言われてたんだよ」
葉月が富弥の事を話し、二人は頭を抱える。
「生まれ変わり…なんて有り得るのかなぁ。でも不思議な話しだよね」
弥生が言い、葉月も続ける。
「でもそうだと考えると合点がいくよ?富谷と富弥だし、顔もそっくりだし。バイトをした訳でもない茶屋で働いてる夢を見ているのが、何より生まれ変わりの証拠だよ」
葉月は断言するように言うので、弥生は落ち着かせる。
「まぁ、そう簡単に生まれ変わりと決めつけるのは良くないけれど、でもかなりそれらしい可能性はあるよね。でも本人はそれとわかってないしねぇ、どうやってその辺り詳しい話しを聞き出してみるか、だね」
うーむ、と弥生は腕組みをし、その姿を見て葉月は言う。
「いっその事、富谷さんに私から本当の事を話そうか。そのほうが夢がはっきりしてくるかもしれないし、富谷さんなら笑わず話しを聞いてくれそうだよ」