第119章 事実を語る
「…佐助?今、佐助って言った?」
ワームホールより、佐助の名に反応する弥生。
「はい、一緒に飛ばされた猿飛佐助くんですが…」
「うわ、道理で行方不明になってるはずだわ」
名前を聞いた途端、弥生は驚いた顔をし、舞が問う。
「…どうしましたか?」
「猿飛くんは、私が所属していた研究室の後輩なの。
と言っても私が卒業してから、入れ違いで研究室に入った子なんだけどね。
とにかく教授や他の後輩が、猿飛くんはすごい出来るって話しをしているのを聞いていて、それがある日から来なくなってしまって、家の人もすごく探されてたんだよ。
そうか、猿飛くんも戦国時代に行っちゃったのか、それなら行方不明になるのはわかるわ」
「おねえちゃんの研究室の後輩だったのか、佐助さんは…」
葉月はつぶやき、何か思いついたらしく急いで言った。
「そしたら、おねえちゃんもワームホールが開く日時の計算が出来るんじゃないの?」
「…は?私が計算するの?何も無い状態で出来る訳ないでしょう?
何せそのワームホールとやらは、開く状況も不明で、計算だって何の式をどう使っているのかわからないもの」
弥生の言葉にがっかりする葉月。
「とにかく、私は東京へ帰らず、ここで仕事を探して、何とかしてワームホールが開くのを見付けて、戦国へ戻ります」
「私も戻ります!」
舞と葉月の固い決意に、弥生も何も言えなくなった。