第110章 衝撃
落ち着かない毎日が過ぎる。
戦況は葉月の耳には届かない。
秀吉に聞けば良いのだが、怖くて聞くことが出来ない。
なので断って葉月は三成の御殿に泊まりこみ、留守居の家臣や女中達と三成の帰りを待つ事にした。
不安を隠して、女中達に不思議がられた料理を教えたり、御殿の掃除を手伝ったり、苦手な裁縫を月代に教えてもらったりして毎日を過ごしていく。
ある時、舞から誘いが来た。
『久し振りに、一緒にお団子を食べに行きましょう』
「いってらっしゃいませ、葉月様。気分転換も必要ですよ」
仲良くなった月代に言われ、舞の誘いに乗って出掛ける事とする。
「舞さん、お久し振りです」
迎えに来た舞に挨拶すると、腹を見た舞が声をあげた。
「あら、ずいぶん大きくなった?」
少々突き出して、明らかに胴回りが寸胴になった葉月の腹を見て、舞が言った。
「はい、実は最近になって蹴とばされるようになりました」
「え?蹴とばされるの?」
「はい。中で動く時に蹴とばすみたいです」