第105章 つわりの後は
それを聞いて三成は眉を寄せて少し考える表情になった。
「今迄とほぼ同じ…という事は、抱いても良いのですか?」
「は?」
いきなりそれですか?と葉月は驚く。
「え…あの、えーと、激しいのは駄目ですけれど、その…大丈夫です」
三成から問われて、友人の事を思いだしながら返事を葉月はする。
「良いのですね?」
「だから、あくまで軽く、ですよ?」
葉月は今までと同じでは駄目ですよ、としつこく付け加えた。
そこまでしつこく言ったせいか、三成は真剣な顔をして言う。
「…やっぱり止めておきます。子が流れては困ります」
三成は眉根を寄せて真面目にきっぱり言い切った。
「あはははは」
三成をつわりで振り回したら、今度は自分が変な方向に振り回されて、つい、乾いた笑いを浮かべる葉月だった。
安土で幸せが育まれている中、一つの不安が密やかな行動で動き出していた。
間もなく、それは安土の武将達の知る事となるが、今はまだ知るにはほんの少し早い―