第15章 羊羹の依頼
「ただいま戻りました」
秀吉の御殿に戻ってきた葉月は、若い女中達に聞かれる。
「三成様にお会いしましたか!?」
「…会うわけないでしょう。
本をあちらの女中さんに渡して終わり、ですよ」
みつなり、みつなりと騒ぐ女中達に、少々げんなりして答える。
本を届けに行ったところで、主が出てくるはずもないのだが、女中達は少しでも希望を持つらしい。
「もしかしたら、会えるかもしれない。
希望を持てばどんなお仕事でも楽しくやれるんですよ!」
「…なるほど…」
言われた事に、かなり、納得した。
「葉月、いるか?」
自室に戻ると外から声が掛かった。
「…秀吉様ですか?おります、どうぞ」
襖をすぐに開ける。
目の前に久し振りに会う、イケメン戦国武将が立っていた。
「…お久しぶりです、えーとお世話になってます」
何と挨拶してよいかわからず、取り敢えず世話になっている礼を言う。