第79章 抱き寄せる(R15)
湯殿からあがり、夜着を借りて着替え、髪の毛をよく拭いて三成の部屋へ戻る。
部屋へ戻ると女中が敷いたのか、部屋の中央に布団が用意してあった。
当たり前のように一組しかない夜具に、葉月は一人で赤くなる。
『また、三成様に、愛される…』
ほんの三日前までおとこを知らなかった。
おとこを知って、受け入れて、何か自分の中で変わった?
変わったかどうかはわからない。
でも春さんが気がついたから、何かやっぱり変わったのかもしれない。
愛される時、深い心の底から、もっと愛されたいと想う不思議な情感が湧く。
三成様をもっと、もっと、と求める、邪な感情が湧きおこるのを止められない。
三成様と深く、ひとつに、愛したい、と思うようになる私は欲張りなのかな…
葉月は灯されたろうそくの揺らめきをじっと見つめ、考える。
葉月は立ち上がると部屋の前の廊下に出て、空を見上げる。
秋の星は、ものさびしい。
寒さと華やかな星が回ってくるのも、もう間もなくだが、まだ天頂近くにはペガサス座の四角形が昇っていた。
「葉月さん?どうしました?」
仕事が終わった後、湯浴みをしてきたらしい、夜着に着替えた三成がやって来た。