第78章 揺れる心
「徒然草ですが…あ、戦国時代にはまだなかったですね…」
「という事は、それはこの時代の後の作品なのですか」
「そうです…」
そんな会話をしていると、廊下から声が掛かり、夕餉の膳が運ばれてきた。
「…さぁ、ではいただきましょうか」
「はい、いただきます」
二人で夕餉をいただく。
「…こうして夕餉を二人でいただくのも三日目なんですね…」
葉月は箸を止めてぽそりと言う。
「そうですね…でもこれからずっと一緒ですよ」
三成のさらりとした発言に、顔が赤くなりつつ葉月も答える。
「…はい、よろしくお願いします」
三成は満足そうに葉月を見て微笑み、二人はそのまま箸を進めた。
夕餉の後、三成は仕事が少し残っているから、と別室へ行き、その間、葉月は湯浴みをどうぞ、と勧められ、案内されて湯殿へ行く。
ちゃぷんとお湯に浸かり、三成からの痕を見つめ、自分の運命を考える。
-現代で普通の社会人だったのに。
-剣道の昇段審査を受けるところだったのに。