第68章 二人の朝
「…三成様、朝、弱いんです、ね…」
葉月は三成の腕の中にいるまま話し出す。
「朝、ですか?そうですね、あまり強くはないですね。何かありましたか?」
「あります、思い切りあります!」
腕の中でくるりと三成のほうを向くと、葉月は一気にまくしたてた。
「三成様の起き抜けのぼーっとした顔が、武将様らしくなくて可愛かったんです。
だから私、抱き着いて『可愛くて好き』って言ったら、三成様は普通に『ありがとうございます』って答えたんです。それを思い出していただけです!」
その内容にぽかんとする三成。
「それ、全然覚えてません…葉月さん、私に抱き着いて好きって言われたんですか?」
「…は、はい、言いましたけど…?」
「そんなに武将ぽくない姿でしたか?」
「…はぁ、私はその姿を独り占めできるんだなって嬉しくなりました」
三成に目を覗き込まれ、目線を合わせて話すと、最後に三成が触れるだけの口付けをした。
「みつ、なりさま…っ」
突然口付けされ、葉月は真っ赤な顔になり慌てる。
「私の知らない私を、貴女は知っているという事ですね。それは重要事項です。
人に知られては困りますので、葉月さんの口を塞いでしまいます」
そのまま、三成に口付けされ、またもや甘やかされる…