第7章 twinkle
イライラしているうちに自身の番が巡ってき、雑念をうちに秘めたまま助走をつけ、床に手をつく。
(ムカつく、ムカつく)
怒りをぶつけるように体をひねる、手を押し出す、爪先を走らせる、床を跳ねる。
(ムカつく……ムカつく)
床の端から端まで回りきってその足を止めた。
動きがとまったときには審査員席から「ほぉ……」と感嘆の声が聞こえた。
(ホントに……蛍ちゃんムカつく)
女はその声に気付くこともなくズカズカと控え場所に戻った。
彼女の頭を支配しているのは月島だけ。
その事を知るのは女だけ。