第7章 twinkle
「人前で抱き付いてきてつばめってばヤラシイ」
「やらしいなんて。蛍ちゃんこそ私のことをこうして抱き寄せたくせに。偏屈なのね」
「そんなこと言われる筋合いないから」
相変わらずの二人であった。
しかし、周りの通行人はあまりにも微笑ましい光景に笑みを浮かべてそっと離れていった。
そこには他に誰も混じりようがないほど完璧な世界。
たとえ山口でさえも割り込めはしない。
ああだこうだとお互いに毒を吐きながら、束の間の休息を得る。
この昼が過ぎれば地獄、結果のわかりきった試合。
時計を見る度嫌な気持ちの蔦が伸びていく。
しかし鬱を糧に伸びていく蔓を月島が抱き締めて剪定してくれているような感覚がした。