第7章 twinkle
午前の予選は軽々と通過した。
これには会場にお忍びで来ていた山口は一切の心配をしていなかった。
……問題はここから、本戦である午後だ。
お昼休み、飲み物を買いに自販機をふらふらと探し歩いている影があった。
ようやく見つけ、無糖ストレートティーのボタンを押そうとした。
それよりも先に伸びてきた手がミルクティーを押した。
「自分の飲みたいの買わないでよ」
「何、緊張してんの?」
「蛍ちゃん。来ないでって言った」
「山口に無理矢理引っ張られて来ただけで僕の意思じゃないから」
「でも。それでも現に蛍ちゃんは来たよね」
嫌そうな口調とは裏腹にカラダは素直なもの。
つばめは振り返って月島に手を伸ばし、男もまたつばめを引き寄せてその胸で抱き止める。
ここ最近の気まずさは温もり一つで吹き飛んだようだ。