第6章 negotiable
「忠ぃー」
「んー?」
粗方髪も乾いたからとドライヤーを切ってそこらを片付けたのち、山口は手を引かれるままにつばめのあとをついてく。
そしてそのまま布団に潜り込む、手は繋いだまま。
「まだ明日の支度してないでしょ?」
「なんか気分じゃない」
「そんなこと言って……明日困るのつば子ちゃんだぞ。遅刻したらどうすんの?」
「いいよ……そっちの方が気が楽だよ」
「もう、そういうこと言わない!」
山口は握られてた手をするりと抜けさせて愚図る従兄弟の明日の大会の支度をし始める。
毎度毎度のことだから何を持参すれば良いのか把握しており、準備は手慣れていて素早い。
そしてそのついでに大会会場を押さえておく。
ただ、いつもと違うことが1点だけ。
突如として部屋に鳴り響く着信音。
つばめは飛び付くように携帯を手に取った。
「……もしもし」
『あ、もしもしつばめちゃん?
急に電話かけてごめんね』
「いいよ。どうしたの?」
『ほら、明日大会じゃん? だから激励!』