第6章 negotiable
「激励……」
つばめの心の中にあたたかい波紋が広がった。
口角があがっていることに本人は気付いているのだろうか。
「そんなの忠以外にされたことないや」
『そっかそっか!
明日見に行っちゃダメなのが惜しいけど応援してるから!
がんばっぺ!』
「……ありがとう。すごく嬉しい」
『んじゃ、また明後日な! おやすみ!』
「うん、おやすみ」
電話を切ったつばめの表情を見て男は確信した。
つばめは急速に月島から離れていっていることを。
月島がいなくとももう大丈夫なんだということを。
今までに見たことのない"女"の顔を見せた幼馴染みに嬉しさと焦りを覚える。
先ほどつばめの自立を応援するとは言ったばかりだが、このままでは自分達三人の絆は崩れてしまうのではないか、と。