第6章 negotiable
つばめが入浴してる間に山口は食器を洗っていた。
いつもおいしいご飯を振る舞ってくれる彼女に感謝しっぱなしなのである。
いくら料理がうまくても片付けはしない、整理整頓が下手と見るに耐えない幼馴染みのために月島と共にハウスクリーナー状態である。
「忠、コンディショナーの替え取って」
「わあっ!? わかった!
持ってくからお風呂戻って!」
「うん」
彼の悩みの種は女が不用心すぎること。
いくら従兄弟とは言えこの年にもなって全裸で風呂場から出てくるのは如何なものか。
コンディショナーの替えを脇にはさみ、水が垂れてびしゃびしゃになったフローリングを拭く。
風呂場まで持っていき渡す。
(ホントに無頓着だなぁ)
つばめも変だが山口も山口である。
いくら従兄弟のカラダと言えども年頃の青年とあれば普通は少しでも反応してしまうはずだ。
それなのに至って平常なのだから。