第6章 negotiable
「へぇ……」
(あれ?)
絶対なにか嫌味を言われることを予期して男は準備をしていたのにどこか嬉しそうに遠くを見つめた。
「菅原先輩、いたんだ」
(なんかいつもより表情柔らかいかも?)
ただほんの短い期間なのにここまで機械のような人間を懐柔させられたことに驚きを隠せなかった。
(いや、日向とかならわかるけどつば子ちゃんまで手懐けちゃうのか……菅原さん恐ろしい……)
「ん! これ超うまい!」
「よかった。たぶん忠好きだろうなって思った」
「さっすが~」
「まぁね。わざわざ誉められるとこじゃないよ」
(こういうところは可愛くないよね!)