第6章 negotiable
「いただきまーす!」
「いただきます」
机に並べられた料理の品々に山口はいつも通り目を輝かせながら小皿に取り分ける。
つばめとしてはおいしいおいしいと食べてくれる従兄弟は月島よりも料理の作りがいがある。
それゆえ月島よりも高頻度で家に泊まらせることが多い。
「そういえば」
つばめはズズッとスープをすすってから言葉の続きを紡ぐ。
山口に、行儀良くないからと諌められる始末だ。
「さっきはなんで隠れてたの?」
「ぶふっ!」
男は口に含んでいたスープを吹き出した。
今度は山口が行儀悪いと怒られる番だった。
「あ……ごめん、ちょっとかかっちゃった……」
「いいよ。お風呂入る前で良かった」
「さっき部屋にいたの気付いてたんだ……」
「靴があったから」
「そ、そうだよね」
あははと苦笑いして逃れようとするも1ミリたりとも変わらないつばめの表情に耐えられなかったようだ。
「あ、あのね、菅原さんがツッキーのお見舞い行きたいって。それで連れていったんだけど、つば子ちゃんが来ることに気付いたツッキーがおそれ多くも嫌がらせしてですね……」