第5章 Memories
(おい山口! つばめちゃん入ってきちゃったぞ!)
(いや、ツッキーが隠れるか帰れって言うから仕方ないじゃないですか!)
ベッドの上、何が起こっているのかさっぱり2人にはわからない。音を頼りに状況を想像するしか出来ることはない。
(……ツッキー、菅原さんが帰らないのをわかってわざとここに隠したんだ)
山口には幼馴染みの思惑が手に取るようにわかった。つばめにとって自分が絶対的にトクベツだということを見せつけたいがための策なのだと。
(ツッキーも大人げないなぁ)
半ば呆れつつも山口にとっても2人が結ばれるのは当たり前のことだと思ってた。しかし今朝の件に立ち会った瞬間、何かが違うと感じた。
つばめのすべては月島じゃなくていい。
菅原がつばめの何か欠落したものを満たせるんじゃないか。
あくまで山口にとっての予感にすぎない。正直、山口にとってはどっちでもいいことだった。可愛い可愛い幼馴染みが幸せになるのであれば。