第5章 Memories
「月島が休むなんて珍しいよなー」
「体調管理しっかりしてそうだけどな」
「まぁ、ツッキーにもそういうことあるよ」
珍しく三人の男子バレー部一年の面々の話題は月島のことで持ちきりだ。
影山の言う通り、体調管理はしっかりしている。が、それとこれとは別問題であることは山口しか知らない。
(ツッキー……ようやくスタートラインに立てたかな?)
初めてその気持ちを自覚した幼馴染みの心配をしていると全員集合の合図がかかる。気持ちだけを置いてコートに足を踏み入れた。
「山口」
「あっ、はい!」
「お願いがあるんだけど……」
「はい……?」
(まさかこんなことになるとは……)
練習後、山口が来たのは月島の家。隣には
「いやぁ、無理言ってごめんな?」
「大丈夫だと思います。きっとツッキーも菅原さんに話したいことがあると思うんで……」
たぶんね。心の中でそう付け加える。
山口にお願いをして月島家にやってきたのは菅原だ。
冷や汗をかきながらインターフォンを鳴らす。