第5章 Memories
「蛍ちゃんが休み?」
「そうなんだよ」
「なぜ?」
(つば子ちゃんのせいだよ!)
そう言いたかったが月島のことを考え、男は「さあ」とはぐらかした。女は「そう」とそれ以上の追求はしなかった。
朝の二人の様子を見た月島は苛立ちのあまり頭痛がし、朝練にも出ずに帰っていった。女はあとで見舞いに行くことを決めてそれから明日のことを考えた。
「……明日は大会、か」
鬱な気分が女の胸いっぱいに広がった。
どうせやいつも通りの結果に終わるのだから、そう思うとそんなことを考えることさえ面倒だと感じ始めた。