第4章 Pet
日が暮れ、練習が終わると俺の足はある場所へ向かっていた。
たどり着いた場所からは軽快な着地音がきこえる。
「体操部……初めて見た……」
ガラス越しに見える部屋の中は次々と人がくるくると回っているのを映し出している。
ずっと探していたつばめの番が来る。
くるっと宙を回り、綺麗に着地を決めた。
(あれ……?)
なんだかしっくり来ない。
何が足りないのかと言われたら間違いなく……。
「華のない演技ッスね」
「……ノヤ」
「あの子だったッスよね、あのときスガさんと一緒にいたの」
「……そんで俺らの目の前で月島とキスしてな」
「そんなに気に入るとこがあったんですか?」
「んー、気に入るっつーか一目惚れ、かな。前見たとき踊ってたとこがキレイでさ。飾らない人なんだよ」
「なるほど」
飾らない、その単語から何か思っているようだが西谷の思考くらいわかっている。
「清水みたいとか思ったんだろ?」
「いや! 潔子さんのが何百倍も美しいんでっ!」
「失礼ね」
声の方に目をやるとガラス張りの入り口を少し開けて微妙に不服そうな顔をしたつばめがいた。
西谷はやらかした、と言わんばかりの表情を浮かべた。