第4章 Pet
「渡さん争奪戦はどうなったんだよ!?」
「……あのさぁ」
盛大なため息のあと、ジト目で日向を睨み付ける。
日向はその圧に一瞬引きそうになるが負けじと睨む。
そんな二人を見て影山と3年生以外は興味津々に食いつく。
「僕はあくまでもつばめのホゴシャなの。誤解を招くようなこと言うなよ」
「ホントに好きじゃないの!?」
「好きじゃない」
「山口は?」
「えっ、俺!?」
まさか自分が指されるとは思わずに戸惑う。
月島は注目が反れてくれたと言わんばかりのため息だ。
「俺はつば子ちゃんをそう考えたことないよ」
あはは、と困ったように笑いこれ以上はやめろと言わんばかりの月島の表情を見た日向は空気を読むように「ぐぬぬ……」とこらえた。
「俺のだー! って言いにいかなくていいのか?」
「いいよ。別に俺の彼女でもないんだし」
「スガの好きな人……えぇと、渡さん? ってどんな人なんだよ?」
「語れるほど知ってるわけじゃないけど……面白い子だよ」