第4章 Pet
「渡! 着地に気を付けろ!」
「はい」
大会なんて気が乗らない。
中学から私はいつも中途半端な4位どまり。
私の密かなコンプレックス。
蛍ちゃんも忠もそのことをわかってて大会が終わると何も結果には触れてこない。
忠は応援したいと言ってくれるが迷惑だ。
恥をかくだけだから。
それでも体操を続けているのは意地……なのだろうか。
高校に入ったらきっとやめる。そう思ってたのに体操部に入部しもう3週間が経っている。
「やらないって言ってたのに。諦めきれないんだ?」
「そうかもね」
蛍ちゃんは少し呆れていた。
自分だってバレーをやめないくせに、なんて思ってた。
「俺、つば子ちゃんならもっと上になれるって信じてるから! いつでも応援してる!」
「可能性は低い」
「そんなこと! ない……よ」
忠の語尾が弱まってくのは今までの私の結果が無理だと言っているから。
別にミスがあるわけじゃないのに。
「君の演技からは燃えるような情熱が感じられない。君、恋をしてみなさい。きっと何か掴めるよ」
そう言ったのは誰だっただろうか。