第1章 Destiny
「……一目惚れ」
「えっ」
つばめの発言に肩を揺らす菅原。
先ほど自分が述べた言葉だというのに。
「一目惚れってどんな感覚?」
「えーっと……。俺の場合は一瞬」
「一瞬? 一瞬ってどのくらい?」
「一瞬は一瞬なんだよ! ……表現できないって」
菅原の言葉につばめは眉をひそめて首をかしげる。
「理解できないよ」
「こっちのセリフだぞ」
「私は」
舞いを踊り出すかのようなつばめの足取りに、菅原はまたあの一瞬を味わえるのではと淡い期待の念を抱いた、が。
しかしそれは大方外れであった。
「わからないの。恋に落ちる感覚も、一瞬の感覚も。
私にはわからないってことしかわからない」
(これは……)
菅原は焦る、返し方に悩むのだ。
これならばまだツータッチでボールを返す方がマシかもなんて思ったり。