第1章 Destiny
「花見日和だなぁ」
満開に咲く桜の木を眺めながら1人男は呟く。
ふと男が視線をやった木の下では女が1人、舞いを踊っていた。
男が恋に落ちたのは文字通り一瞬だった。
「妖精……」
同じ学校の制服だった。
ツインテールされた白茶色の髪の束が花びらと共にくるくる踊る様はまるで天女の羽衣のようである。
目が離せない。
身動きがとれないほどに魅了されたようだ。
痺れる体を踏みしめ一歩ずつ近づく。
「あの……!」
「……何?」
「一目惚れしました、名前を教えてください」
「1年1組……渡つばめ。あなたは?」
「3年4組、菅原孝支」
「先輩か……敬語苦手」
「いいべ、気にしなくて。それより……メアド、交換してください!」
「いいよ」
2人の間に強い風が吹き抜ける。
まるでこれからの2人に大きな障害が訪れることを告げるかのように――――――。