第4章 Pet
「どうって……」
(別にどうしてほしいということはないケド)
菅原とこれ以上近づいてほしくない。
ただそれだけのはずだがそれだけでは満足できないと心が騒いでる。
「……とりあえず僕の言うこと聞いといて」
「ご主人様のつもり?」
「は? 深読みしすぎ」
「従順な飼い犬じゃないの。私があなたの言うことを聞くとは思わないで」
「……」
珍しく月島に噛みついたつばめに、山口は、売り言葉に買い言葉、少しだけ犬みたいだと内心評していた。
まったく理不尽な男になっている月島を山口はどうにもフォローすることすらできずにいた。
「さぁ、ご飯食べよう」
「あ、俺手伝うよ!」
「ありがとう」
(クソッ……この不満を言葉にできない……)
キッチンへと連れ立つ二人の背中を見て、月島はどうしようもない感情と対峙する。