第4章 Pet
「菅原さんには会わないで」
それはつばめが帰宅し、三人分の夕御飯の仕度をしていたときだった。
「何故?」
「何でも」
つばめは鍋の火を切り月島の向かいに座り、山口はつばめの隣の席であんぐりと口を開き月島に視線をやる。思わず手からおせんべいを落としそうになった。
まさか出逢って二日の人と会うなと言われるとは誰も予想できなかっただろう。
山口だけが自分のことのように緊張している。
「最近の蛍ちゃんは屁理屈ばかり」
「僕は保護者代行だから僕の言うこと聞いてもらわないと困るんだよね」
「いつから保護者代行に?」
「……オバサンたち帰ってこなくなってから」
「そう」
ふぅ、と一息ついて彼女にしては大変珍しく呆れ果てた顔で
「あなたは私にどうしてほしいの?」
そう問いかけた。それがますます月島をムッとさせる。
敢えて"あなた"と月島を突き放すような物言いをするつばめに
(ああ……つば子ちゃんわりと本気で嫌がってるや)
一人状況を察してどうしたものか、じっと考える山口であった。