第3章 Consciousness
「はよー」
「おはよう、スガ」
「はよーございますっ!」
「おー、朝から日向は元気だなー」
「うっす!」
いつもよりも幸福な朝を迎えた男はいつも通りの朝練の風景に馴染んでいく。
しかしいつもよりも苛立った朝を迎えた男はいつも通りとはいかない。
「おはようございます」
「おはよーございます!」
「おう、はよ。月島、山口」
「はよーっす」
「あれー、機嫌良さそうですね。朝から何かいいことでもあったんですか、菅原さん」
「えっ」
菅原の脳裏に浮かぶのはつばめの顔。だけど思い出すのは月島との昨日のキス。
複雑な気持ちになったが自分だってキスした、その事実が彼を安心させた。
「うん、まぁね」
「スガ、何かあったのか?」
澤村の問いかけにあえて月島を見ながら答える。
「好きな子と一緒に学校来た」
「ええぇっ!? スガさん好きな人いるんスかーッ!?」
日向の問いにはっきりと、彼には珍しい強気な笑みで、
「うん、いるよ」
そう答えた。