第3章 Consciousness
「それ初耳だぞ」
「何でいちいち旭に言わなきゃいけないんだよ」
あははとおどけて笑ってその場を終えようと思った。
それを許さない者がいた。
「それってつばめですよね」
月島の放つオーラに菅原は一瞬呑まれそうになる。
「……そうだよ」
「物好きですね。あんなクセのあるヤツ好きになるなんて」
「物好きって……。まぁ、そうかもな」
変わらない態度に月島はさらに怒りを深める。
そんな月島を見て菅原はほんの少しだけスカッとした。
「月島はあの女が好きなんじゃねーの?」
「まさか」
「じゃあ」
月島は質問を投げ掛けた西谷に視線をやる。
「何で昨日キスしたんだよ」
「……別に。いつもしますし。山口だってするし。第一センパイ方には関係ないでしょう」
「月島ァ、なんだその言い方は! 生意気だぞ!」
「ちょ、ツッキー! すいません西谷さん!」
「えっ、山口もキスしたの?!」
「い、いや俺の場合は小さい頃にほっぺにだから……!」
「はいはいそこまで」
響く手のクラップ音に無駄に緊迫した空気が解ける。
その場を制することのできる人はただ一人だけだった。
「ほら、そろそろ練習始めるぞ」
「はいっ」
澤村の声かけで恋バナ(?)はそこで幕を一旦閉じた。