第3章 Consciousness
「はよっ」
「おはよう」
お互い自然と笑みがこぼれる。
木の根っこに腰を下ろし他愛もない話をしだす。
柔らかい春風が花粉を運んでくる。
「ああ、鼻がむずむずする」
「花粉症?」
「うん。くしゃみが小さな頃からひどくて。
くしゃみを連続でしすぎてうまく息が吸えなくて呼吸困難になったことがあったの。
その事があったから蛍ちゃん、私がくしゃみをしそうになるとキスで口を塞いで止めようとするの」
菅原はだからか、と合点がいった。
「だから昨日俺がくしゃみしそうになったときキ……キス、したのか」
「あれは……無意識。気が付いたら体が動いてた」
「え……」
「言ったでしょ、自分からするなんてあなたが初めてだって」
一瞬固まったのちすぐに菅原の頬がゆるむ。
へへっと笑ってるとつばめも無表情ながらどこか笑っているようだった。