第3章 Consciousness
また時が止まった。
電話越しに感じる空気が二人の運命をまた動かす。
「……」
「何? どうかした?」
「……っしゃああああっ!」
「っ……うるさい」
「ごめんごめん、嬉しすぎて」
「……あなたって人は……。何だかいいね、こんなの初めてだな……」
菅原は知らない。
端末の向こう側ではつばめが月島にすら見せたことのないような笑みを浮かべていることを。
「明日、朝、またあの木の下でいいの?」
「あ、うんっ」
「朝練あるよね? その前の時間の認識ってことでいいのかな」
「おうっ」
まだ冷めない興奮したままの声で返事をする。
じゃあ、おやすみと電話を切り二人とも布団に入り直す。
(これは期待? ……久しく忘れていた感覚)
切なくもわくわくする気持ちを抱えたままつばめの意識は夜に溶けていった。