第3章 Consciousness
なんとも言えない気持ちを抱えたまま眸を閉じかけたとき、ヴヴヴ……と振動音が指に伝わった。
彼女の表情が変わった。
「もしもし」
「もしもし? 夜遅くにごめん。かけようかずっと悩んでて……」
「うん、私も同じこと考えてたし悩まなくてもいいよ」
(いや、そこは考えちゃうだろ! この時間だし、もう寝てたらとか、月島や山口がいたらとかさ!)
菅原の悩みなどつばめが知る由もない。
そうだね、と苦笑しつつ彼は本題に入る。
「……あのさ、言いたいことあるんだけど」
「何?」
「月島のこと」
彼女は「ああ」、と短く返し菅原の質問を予想した。
それに対する答えを考えていると、
「負けねぇから」
「……ん?」
「月島に絶対負けねぇから。つばめちゃんに好きになってもらうから」
「……あははははははっ!」
滅多に笑わないつばめが腹の底から笑い声をあげた。
受話器の向こうでピクリと肩を揺らす菅原は至って真剣であるのだが。