第3章 Consciousness
「……まだ恋って感情わからないんだ?」
「もちろん。恋をするという感情は奥深いもの」
「はいはい」
つばめは恋がわからない。
何をしたってときめくという感覚がない。
それゆえいろんな人を見てときめく瞬間を探っているのだが……。
「なかなかうまくいかないね」
「そもそも観察なんてしてるとこからアウトだと思うケド」
「そう。なんで?」
「なんでって……なんでも」
不思議なテンポで進んでいく会話。
そうしてから20分経った頃だろうか、どちらかのお腹がなる。どちらからともなくご飯にしようと声をかけてさらに15分後温かいご飯が出てくる。
「いただきます」
「どうぞ」
「……いつも通り」
「素直に美味しいって言えばいいのに」
いつも通りの穏やかな時間に月島は内心ホッとしていた。
この場所は先輩に奪わせてなるものか、意地でも譲ってやんない。
そんな風に密かな対抗心を燃やしながらつばめの手料理に舌鼓を打っていたのであった。