第3章 Consciousness
「ただいま」
誰もいない真っ暗な玄関に声が響く。
つばめの両親は忙しい人でなかなか家には帰ってこないので実質一人暮らしだ。
それは彼女にとって寂しいという感覚ではなく日常だ。寂しくない理由は幼い頃から意外と世話焼きな彼らが来てくれるからだろう。
灯りをつけ、手荒いうがいを済ますとタイミングよくインターホンが鳴り、すぐ人が入ってくる。
「インターホンを鳴らす意味は?」
「一応ね。礼儀だし」
「興味深いや」
つばめからしてみれば幼馴染みすら格好の観察対象なのだ。
そう思われていることなど昔からとっくに知っていると言った顔でどんどん部屋に入っていく。
「その探究心勉強に活かしたら?」
「意味がわからないよ」
「あー出たつばめのご都合」
「そう言いながらも結局私の面倒を見てくれる辺り優しいってことじゃないの?」
「……優しいとかじゃないから」