第3章 Consciousness
怒りのようにも愛のようにも聞こえるその声音に山口が震えた。しかしつばめはピクリとも反応しない。
「うん。今朝会ってね」
髪をくるくると指に巻き付けていじりながら、今朝の出逢いを思い出す。
月島の目を見ることなくつばめは菅原を思い出す。
「桜の木の下で踊ってたらね、声かけられた。で、……知り合ったんだ」
(何で言葉を詰まらせるんだよ)
月島はそこに腹を立てていた。
隠し事をされているのはもう十何年もの仲なのですぐに悟ることができたようだ。
「へぇ、キョーミないけどね」
「自分から聞いたくせに。これだから蛍ちゃんは面白いや」
「バカにしてるよね? 襲われたいの?」
「構わないけど」
「女なんだからもう少し否定しときなよ」
「わかった、試してみる」
(と、とりあえず落ち着いた……?)
ふぅ、と息をつき一人胸を撫でる心配性の山口であった。