第2章 Necessarily
「それ、マジ?」
「マジだよ!」
「でもスガさんに限って……」
「いや、スガは意外とちゃっかりしてるからなぁ」
「何々、何の話ッスか!?」
「実はな、スガがな……」
「俺がなんだって?」
興奮していた部員たちの背筋がぞっと凍る。
ゆっくり、ゆーっくり振り返ると黒い笑みを浮かべた菅原がいた。
「ス、スガ……!」
「ビビりすぎだよ、旭。俺が何だって?」
「い、いやぁ、その……っ!」
「スガさん、昼休みに女連れで歩いてたッスよね!」
「えっ」
今度狼狽えたのは泣きぼくろの男だった。
少し考えたあと声の主の方へ向いた。
「はぁ……ノヤ、あの子は後輩だよ」
「手繋いでたじゃないですか。しかもめっちゃクールそうな子。ほら、すんごい薄い茶色の二つ結びの子!」
「ピクッ」
反応したのは泣きぼくろの男だけではない。
「ツッキー、もしかして……」
「まさかね」
山口と月島はつばめではないことを祈りながらその日の練習に臨んだ。