第2章 Necessarily
「今日の練習はこれで終わり! お疲れ様!」
「「「ありがとうござっしたっ!!」」」
すらりと引き締まりつつ筋肉がついた男女がわらわらと話ながら水分補給や着替えを始める。
そのなかにつばめもいた。
(今日は終わるの遅かったな。バレー部はまだやってるかな)
仲間と適当に挨拶を交わし、練習場をあとにする。
その足で体育館へ向かい、入り口を覗くととある男とぶつかる。
「わっ……、ごめんなさい」
「いや、こっちこ……んん!? ああっ!! スガさーん!! 」
「何だよノヤぁ……ってどうしたのつばめちゃん!」
菅原の声が体育館に響く。
「えっ」
つばめは驚いた。
まさか朝会ったばかりの一目惚れされた男が幼馴染みと同じ部活だったなんて。
「あのね、蛍ちゃ……はっ、はっ」
くしゃみの構え。
菅原が手を伸ばそうとした瞬間にそれを押し退けてつばめに"おまじない"をしたのは――――――――。
「はっ……んんっ……ふぅー、蛍ちゃん、忠帰ろ」
「はいはい。珍しくない、この時間に終わるの」
「てかツッキー人前だったけど良かったの?」
「……まぁ、ね」
「月島……っ」
このときすでに、戦争は始まっていた。
運命も、必然も、両者を衝動的にかき混ぜながら。