一泊二日温泉旅行に行ってみた【実l況l者/全l身l組】
第11章 pm 4:20
「…それにしても…柚月、大丈夫かな。」
「ん?」
「色々言ったからさー。なんか頭ん中パニクってねえかなって。」
私の話…
本当は聞かない方がいいのかもしれない
そうは思うものの眠気は完全に飛んでいて、意識は二人の会話に向いてしまう
「うーん…まぁ実際、ちょっと様子おかしかったしね。
でもやっぱ少しでも先に進みたいし。
あとは柚月ちゃんにたくさん悩んでもらわんと。」
「まあな。でもさ、最後お姫様は勇者を選ぶわけじゃん?
なんかレトさん踏み台にして悪いわー。」
「なにその、俺フラれる説。
てかキヨくんは無理やろ。
寝込み襲うような変態は。」
「え、ちょっと待って、なんで知ってんの?!」
「ちょ、声デカい!」
声が静まり、少しの沈黙
きっと私の様子を伺っているんだろう
寝たふりがバレないか変な汗が出る
ふーっと二人の息が吐く音が聞こえると、また会話が続く
私も無意識に息を吐いた
「…レトさん、柚月から聞いたの?」
「…聞いたって言うか、見たらわかるし。
なんでお前が柚月ちゃんのベッドで寝てんねん。」
「んーあーあれは寝ぼけて…、」
「ふーん、寝ぼけたフリして女の子のベッドに入っていくなんて、柚月ちゃん知ったらどう思うかなぁ?」
フリ?!
あれってフリだったの?!
焦って言い訳しようとしてるキヨくんの声の様子が伝わる
確かに色々と不自然だった
フリなら全て納得がいくような…
「てか、レトさんが悪い。
柚月にでこチューとかしてるし。」
「でこチューって…お前まさか見てたん?!」
「だって俺を置いて庭に出て行くから、てっきり二人で混浴するんかと思って。」
「え?まさかあん時寝たフリ…?」
「いやいや、ほんとに寝てたよ。
レトさん一回部屋戻ってきたよね?
なんか足音うるせえし、キモい鼻歌聞こえるしであれは起きるわ。」
「鼻歌とか歌ってたっけ…?」
「無意識かよ!どんだけゴキゲンなんだって気になって見てたら、なんか電気とか消していい雰囲気出してるし。」
み、見られてた…
いくら受け身の出来事とはいえ、あんな場面を目撃されていたかと思うと、気恥ずかしくなる
二人のよくわからない争いはまだまだ続く…