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一泊二日温泉旅行に行ってみた【実l況l者/全l身l組】

第10章 am 11:47


胸が暖かくなって、込み上げてくる気持ち

「…柚月?!」

急にびっくりしたように私の顔を覗き込むキヨくん
レトさんも同じように心配顔で見つめてくる

ふと気づく、頰に流れる冷たい感触

私、泣いてる…?

「あ、れ?…感動し過ぎて涙出ちゃった。」

指で拭って笑って誤魔化したけど
二人は複雑そうな顔のまま

昨日今日と泣き虫だな私…
また困らせてしまった…

でもこれは本当に感動の涙
誤解させたくなくて、再度笑顔を作ってみる

するとレトさんがキヨくんに視線を送ると、キヨくんは静かに話を切り出す

「…柚月、聞いときたいことがあるんだけど…。」

二人の真剣な眼差しに緊張を感じ、思わず唾を飲み込む

「あのさ…違ってたら悪いんだけど…、
柚月のことで、俺たちが気まずくなるとか思ってる?」

「え…」

心臓がドクリと脈打つ
動揺したのがわかったのか、二人は顔を見合わせて溜息を吐いた

「…柚月ちゃん、あのな…、…ふっ」

……ふ?

「ふ、ははっ、あははははっ!!!」

「へ?!」

レトさんが笑い始めると、キヨくんもつられて笑い出す

この状況は…何…??!!

「あ、ははっ、ごめっ、なんか考えたらおもろくてっ。」

「ちょ、ははっ、レトさんっ、笑い過ぎ…っ、」

お腹を抱えて笑う二人を目の前にしてポカンとなる
次第に状況がわかるとふつふつと湧き上がる不満

なにこの取り残された感…
私すごく悩んでたのに!

むうっと唇を尖らせると、それに気付いたキヨくんが息を整えて笑いを堪えようとしている

「いや、ごめっ柚月!
ちょっと聞いて?」

咳払いを一つして、私に向き直る

「さっきレトさんと話してたんだけど、こーゆー状況ってすげーなって。」

「ま、まぁ…確かに…。」

「好きなタイプとか違うのにさ。
しかも取り合うってドラマとか漫画みたいな展開だし。
でも相手がレトさんってなんか…ウケるし。」

「ウケるって失礼やなー!」

そう言いながらも、笑ってるレトさん
キヨくんもそれを見て、まだニヤニヤしてて

こんな状況を笑いに変えてるって、普通じゃできないよ
驚きすぎてむしろ感心してしまうほど

あまりにも可笑しそうに笑う二人に私もなんだかつられてくる
重かった空気がいつの間にか軽くなっていたように思えた
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