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一泊二日温泉旅行に行ってみた【実l況l者/全l身l組】

第10章 am 11:47


ひとしきり笑った後、目で合図をし合った二人が私に向き直る

一つ息を吐いて、キヨくんが口を開く

「何が言いたいかつーと、友達だから譲るとか、そーゆーの絶対したくねえし、そんな半端な気持ちなわけじゃねえんだわ。」

そう断言するキヨくんは清々しいくらいに真っ直ぐで、いつもの自信たっぷりな表情をする

「俺も柚月ちゃんとのこと真剣に考えてんで?
相手がキヨくんだから遠慮するとか絶対ないし。
それにもし、柚月ちゃんが俺を選んでくれへんでも、それはそれ、と言うか、俺自身の問題であってキヨくんを妬んだりするんは筋違いやと思ってる。」

うんうん、と頷くキヨくん

「だから柚月が思ってるような心配することはないから。
そんなの抜きにして見てほしい。
時間が掛かっても、迷ってもいいから。」

胸の支えがスーッと溶けていくように、体が軽くなるような気がした
私が思ってるよりずっと簡単で、ずっと単純だったのかもしれない

「全部受け止めるから、楽に考えてええんよ?」

「そうそう。
…まぁそうやって背追い込むとことか柚月らしいけどな。」

キヨくんはポンポンと私の頭に触れると、優しく微笑む
レトさんも少し心配そうな顔をしているものの、いつもの柔らかい笑顔にすごく安心する

「てかレトさん俺にビビってっからなー。
もう実質俺の勝ちじゃね?」

「そうやなー。ヤンキーの報復が怖いもんなぁ。」

「ヤンキーじゃねぇしっ!!」

そしていつもみたいにふざけ合う
その様子に思わず吹き出すように笑うと、普段の私たちに戻った気がした

洞窟の隙間から差し込む光が私たちを照らす
キラキラと輝く空間は、もう迷いはない心を映し出しているようで

「レトさんっ、キヨくんっ!」

「「ん?」」

「ありがとっ!!!」

嘘じゃない強がりじゃない心からの笑顔
嬉しくてまた泣きそうになるけど
今は笑っていたい

「………。」

「…あのさ、ほんと…そーゆー顔すんのとか…、」

「え?」

「…いや、なんでもねえわ。」

「まぁ柚月ちゃんはそうやって笑ってたらええんよ。」

「ん?うん…?」

なんだか無理矢理纏められた感が否めないけれど、
私も同じように思うよ
レトさんもキヨくんも笑っていてほしいって
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